9月24日から27日までの3泊4日間、お客様と一緒に中国のハイテクシティ「深圳(シンセン)」を訪れました。ガジェット好きの方にとっては“夢の街”とも言える深圳。街全体が未来に一歩先を行っていて、正直、驚きの連続でした。
中でも今回、最も印象に残ったのが――無人タクシー🚕✨
利用したのは、トヨタが出資するスタートアップ Pony.ai(小馬智行) のロボタクシー。Pony.aiは、Google Earthの技術者として活躍した後、Baiduで自動運転開発責任者を務めた彭軍CEOが2016年にシリコンバレーで創業した企業です。
2020年にはトヨタから約4億ドル(約570億円)の出資を受け、協業を加速。2024年4月にはトヨタとの合弁会社も設立し、広汽トヨタの工場で車体を生産、Pony.aiのプラットフォームで運用する体制を構築中とのこと。そして、2025年からはロボタクシーの大量生産を目指すそうです。
搭載されているのは、現時点で最高水準のレベル4自動運転技術。
条件付きではありますが、特定エリアや天候・速度条件下では、すべての運転操作を完全自動で行うことが可能。
深圳・広州・北京では、すでに完全無人運転が実用化されており、補助員が同乗しないケースも増えているとのことです。
実際に乗ってみて…
アプリで配車を依頼すると、現れた車は一見普通のセダン。
しかしよく見ると、天井や車体にセンサーやカメラがびっしり。
ドアを開けて中に入ると、運転席には誰もいない!
最初はさすがにドキドキしましたが、走り出すと驚くほど自然。
信号、歩行者、自転車にもスムーズに反応し、ブレーキのタイミングも完璧。
横からすり抜けてくるバイクを軽やかに避けたり、工事区間をしっかり迂回したりと、人間よりも冷静な運転に感じました。
今回の視察で感じたこと
今回の深圳訪問で強く感じたのは、**「技術が生活の中に完全に溶け込んでいる」**という点です。
無人タクシーに限らず、キャッシュレス決済、顔認証、スマート物流など、社会全体が“AI前提”で設計されている印象を受けました。
技術が特別なものではなく、「便利だから使う」という自然な姿勢が街全体に根付いています。
また、政府・企業・市民が同じ方向を向いて実証実験を進めるスピード感も圧倒的。
「リスクを取ってでもやってみる」文化が、都市そのものの成長エネルギーになっていました。
日本との比較
日本も技術力そのものは世界トップクラスですが、社会実装のスピードという点では、まだ慎重すぎる印象を受けます。
深圳では、失敗を恐れずにまず実行して、問題があれば即アップデートという“現場主義”が徹底されていました。
一方、日本では安全性・法制度・倫理など、あらゆる観点での調整が必要で、どうしても時間がかかってしまいます。
ただ、その分「品質の高さ」「信頼性の強さ」は日本の大きな武器。
深圳の勢いと日本の緻密さ、この2つが融合したときに、真の意味での次世代スマートシティが生まれるのではないかと感じました。
今後の可能性
今回の体験は、単なる観光ではなく、日本企業にとっての未来のヒントが詰まっていました。
自動運転、AIインフラ、スマート決済、そしてデータ活用。
どれもすでに“構想段階”ではなく、“日常生活の中で稼働している”という事実が重要です。
テクノリンクスとしても、こうした最先端のテクノロジーを日本の生活・IT・サービス領域にどう取り入れるかを、これから真剣に考えていきたいと思います。
「テクノロジーを遠い未来ではなく、すぐそばの便利さに」――
そんな時代が、もうすぐ日本にもやってきそうです。